2.個性を活かすマーケティング入門 ④絶対に負けない戦略とコンセプト
「社会的弱者による製品づくりに学ぶ、世界でオンリーワンになるためのマーケティングと経営」~弱みを強みに転じる生き残り方~2.個性を活かすマーケティング入門 ④絶対に負けない戦略とコンセプトどんな事業、製品・サービスをつくっていったらいいの?以上のSWOT分析を行い、前提を整理した後に、何をやるべきかを考えます。実際に自分たちがどのような事業を行っていくのかということです。そのために、事業領域やコンセプトをまとめていく必要があります。事業領域、コンセプトの作り方自社の強み、弱み、機会、脅威を整理しそれをもとに、「事業領域」をまとめます。事業領域とは「事業ドメイン」ともいい、自社の行うべき事業のことをいいます。また、この事業領域を製品やブランド開発等の場合、「製品コンセプト」・「ブランドコンセプト」として置き換えても良いです。事業領域 ターゲット・ニーズ・独自能力 事業領域・コンセプトは、「ターゲット、ニーズ、独自能力」といった軸で組み立てます。 強みやチャンスを活かし弱みやピンチを補う、自分だけが出来る組み合わせを見つけ出し、「勝てる個性」を具体的に強調していきます。人にそれぞれ個性があるように、世界に一つの強い個性を持った事業・製品に仕立て上げることが出来ます。 ...
2.個性を活かすマーケティング入門 ③彼を知り己を知れば百戦危うからず
「社会的弱者による製品づくりに学ぶ、世界でオンリーワンになるためのマーケティングと経営」~弱みを強みに転じる生き残り方~2.個性を活かすマーケティング入門 ③彼を知り己を知れば百戦危うからず それでは、まず第一に現状を把握するというプロセスからはじめましょう。孫子の兵法に「彼を知り己を知れば百戦危うからず」という格言がありますが、これは戦やビジネスの真髄です。自分とは何なのか、自身を取り巻く環境とはどうなのかを徹底的に知れば、どんな戦いでも負けることはないというのです。まず自分自身の内部環境の分析、自分を取り巻く外部環境の分析をとことん行うことが大切です。内部環境とは、「人材」、「組織」、「パートナー」、「資金」、「技術」など。外部環境とは、「市場」や「競合」、「経済」、「政治」、「法律」、「自然環境」などです。何か難しい感じですが、とにかく回りを見て、自分を見ろということです。 これをとことん事実に基づき具体的に調べていきます。その方法は、書籍、マーケティングデータ、インターネットなどから、また実際のビジネスの現場です。よく「現場100回」という言葉がありますが、ビジネスの答えは現場にあります。とにかく現場を見ることが最も重要、机の上では何も本当のことは分かりません。売場、生産現場、使う場所などの現場を100回以上見て、事実を把握していくことが大切です。 そして、それを「SWOT分析」という手法でまとめていきます。非常に古典的なアプローチですがとても整理しやすいのが特徴。内部環境として「S(ストロングネス・強み)」、「W(ウィークネス・弱み)」、外部環境として「O(オポチュニティ・機会)」、「T(スリート・脅威)」を、一つの紙にまとめていきます。そして、自社の強みや弱み、チャンスやピンチを明確にしていくのです。 ...
2.個性を活かすマーケティング入門 ②作る・売る・伝える、すべてはつながっている
「社会的弱者による製品づくりに学ぶ、世界でオンリーワンになるためのマーケティングと経営」~弱みを強みに転じる生き残り方~2.個性を活かすマーケティング入門 ②作る・売る・伝える、すべてはつながっているよく福祉の現場や企業でも以下のようなことを聞く機会があります。「販路さえあればうまくいくのに」「製品は開発して出来上がっているがどこにどう営業したら良いのか分からない」「この商品誰が買ってくれるのか?」 よくあることですが、それぞれのマーケティング活動がバラバラになっているために起きてしまう問題です。聞き返したい質問は「それではこの製品を誰のために作っているのですか?」ということです。 誰のためでもないものは、きっと誰も要らないものでしょう。 すべてのマーケティング活動は前出の図のようにつながっているのです。「誰のためにどのような製品・サービスを、どのような方法で提供するのか?」それを詳細まで考えて、実行する。それがうまく機能しないと、一部の営業を強くする、広告を強くする、製品を開発するといった個別機能の増強では全体のビジネス活動はうまくいきません。また、事業がうまくいかないときも前述のマーケティングの図を見て原因を考えます。全体戦略や取り組みの中で何が足りないのか、どうしたらうまくいくのかの対策を練るのです。くれぐれもシンプルな図で示したように、全てのマーケティング活動は「有機的につながっている」ことを肝に銘じてください。マーケティングに関連する仕事をしている自分自身の事業会社でのキャリアもこのチャートに中に当てはまります。キャリアのスタートは、「プロモーション戦略」の一機能である「人的販売」、つまり営業の仕事です。その後商品の仕入れ担当者となり、「プロダクト・製品戦略」や「プライス・価格戦略」に携わり、その後ブランドの立ち上げで、販促や広告も含めた「プロモーション戦略」全体、また「チャネル・流通戦略」に取り組んだ経験をしました。多分多くの方がこのマーケティングのフレームワークの中の特定部分を中心に担当していると思います。 すべては、目標を決めて、大局的なビジネス全体を見据えた上で各戦術を実行することに成功の確率が高まります。 そしてみなさまの日々行う「営業」や、「調査」、「広報・広告」、「商品企画」、「お客様対応」などはマーケティング活動の一部であり、バラバラに行われるべきではなく大きなマーケティング戦略に基づいて繰り出されるべき一手、そして各自が行うべき活動は全体戦略に合った活動であるべきなのです。それらの戦略を関係者全員で共有して行くことも大切です。よって何の計画もなく出来るものをつくった後に、売先があれば売れるのに、どんな人が買うかわからない、といったことは本末転倒な話です。そうなると、「販路さえあれば売れるのに」、「どんな販路が良いのか?」、「どんな雑誌に載せればいいのか?」、「価格はいくらにしたらいいか?」、「どんなデザインがいいのか?」「製品コピーのフォントの大きさはどうしよう?」などということが、後から出てくることはありません。すべては「ターゲットとするお客様が喜ぶことを選ぶ」という答えです。 誰のために作って、伝えて、買いやすいように提供するという戦略を立て、個々の事が全体としてつながってこそビジネスはうまくいくのです。つづく記事一覧(こちらのページの下に、記事の一覧があります。そちらから続きをご覧ください)https://trife.co.jp/category/③コラム「障がい者施設の事業戦略-社会的弱者に/
2.個性を活かすマーケティング入門 ①超シンプルなマーケティング戦略策定のフレームワーク
「社会的弱者による製品づくりに学ぶ、世界でオンリーワンになるためのマーケティングと経営」 ~弱みを強みに転じる生き残り方~ 2.個性を活かすマーケティング入門 さてこれからは、授産施設の製品の販売において、また一般的なビジネスや個人の生き方にも参考になる、実践的なマーケティングの基礎知識について、シンプルにご紹介していこうと思います。 ...
1.障がい者が社会とつながる仕事 ④職場は「生きる場」
「社会的弱者による製品づくりに学ぶ、世界でオンリーワンになるためのマーケティングと経営」 ~弱みを強みに転じる生き残り方~ 1.障がい者が社会とつながる仕事 ④職場は「生きる場」 ...
1.障がい者が社会とつながる仕事 ③授産施設は何を目標にするべきか
「社会的弱者による製品づくりに学ぶ、世界でオンリーワンになるためのマーケティングと経営」~弱みを強みに転じる生き残り方~1.障がい者が社会とつながる仕事 ③授産施設(特に就労継続B型)は何を目標にするべきか一般企業の製品・サービスに競争で勝てるのか2009年のリーマンショックで世界中の多くの場所で景気は低迷し、2011年の東日本大震災で日本経済はさらに大きな打撃を受けました。円高やデフレといった様々な要因で、非常に厳しいビジネス環境となっています。消費は冷え込み、消費者は本当に必要なもの、価値を感じるものにしかお金を払わない時代になってきています。そして日々生き残るために必死で事業活動している一般企業も来年、数年後存続しているのかわからない時代です。また、障がいをもつことなく、高等教育を受けた若者さえも就職が難しい、また働き盛りの人さえもリストラにあうといった、今の日本の環境があります。 その厳しい環境、低迷する地域経済で、海外からの安価で良質な製品があふれ、一般企業が生き残るために凌ぎを削るこの今、本当に国内外の一般企業の製品・サービスに勝てるのか?、継続的に外部企業(作業等の発注者)や一般消費者に選ばれていく製品・サービスを提供し続けていけるのか?、普通のやり方でそのことは実現できるのか?、難しい問題です。 その難題に取り組むべきなのか ...
1.障がい者が社会とつながる仕事 ②授産製品が売れない理由
「社会的弱者による製品づくりに学ぶ、世界でオンリーワンになるためのマーケティングと経営」~弱みを強みに転じる生き残り方~1.障がい者が社会とつながる仕事 ②授産製品が売れない理由 福祉のプロフェッショナルによるビジネスの限界ちょっと手厳しいことを書いてしまいますが、お許しください。一部の成功事例を除けば多くの場合、授産製品は売れていません。よって生産や販売で得られる障がい者の工賃は非常に安いという現状があります。その理由の一つとして、製品そのものの「市場競争力のなさ」にあります。製品コンセプト、製品そのもの、価格、デザイン、販路、認知度・・・授産施設を運営する社会福祉法人等の職員の方の多くは、実際のビジネスを経験してきた人というよりは、福祉の勉強をされてきた「福祉の専門家・福祉のプロフェッショナル」です。自分自身が授産製品のマーケティング講座などでお会いして交流してきた職員の方々は、非常に優秀な方たちばかりで驚きます。こういってはなんですが、一般企業の社員の方よりもビジネスを本気で行ったら成功しそうな方もいます。しかし、今は生産活動を行って、収益事業を育てていく専門家ではありません。 一方で、ビジネスの最前線にいる企画や販売、プロモーションのプロフェッショナルが福祉業界で働くことは、そもそも仕事は少なく、多くないのが現状です。製品やサービスを開発して展開していくためのマーケッター、デザイナー、コピーライター、営業、PR担当なども含めた専門家は現場にいません。福祉の現場にビジネスのプロフェッショナルが「不在」なのです。 一般企業で働くことの難しい障害を持った方々の個性を活かしたビジネス構築は、一般ビジネスのプロフェッショナルにとっても難しい課題です。そういった難問に、福祉の現場の職員や保護者が取り組まなければならないという現状があります。よって、職員やサポートする家族による企画開発や販売については限界があり、他にはない個性と付加価値、市場競争力をもつ製品がなかなか出来にくいということがあります。売れていない製品の多くは、「没個性」のどこにでもあるような製品になってしまっていることがあります。 独自展開と職員のモチベーションまた一部の施設に見られる現象ですが、他に力を借りず「わが道を行く」という姿勢もあります。リズムの違いや価値観の違いもありますが、ビジネスのプロである外部の会社や組織と組んでの展開を行わず、あくまで自力での製品企画や販売を貫く施設もあるわけです。 福祉の仕事を選んだ人の中で、「商業やビジネスを志向しないから」という理由の方の場合は、なかなかビジネス界とのつながりを持ちたがらないこともあります。しかし、自力のみで事業展開を推し進めようとすると、うまくいく確率は下がってしまいます。 また稀にですが、職員の方の授産製品事業に対する「モチベーション維持の問題」もあります。職員の方のお給料は、授産製品の収益に連動することは少なく、行政からの業務委託費や助成金などから出る公費として一定の金額となります。 よって、授産製品のビジネスが成功したらメンバー(障がい者・施設利用者)への工賃が増えますが職員自身のお給料は変わらない場合が多く、一般企業の社員のようなインセンティブはありません。また多くの職員の方、施設を立ち上げ運営している親の方々はお給料などに関係なく高い志を持って取り組んでいますが、逆に事業に問題を起こしてしまったり失敗してしまったら組織内外での非難等もあり、なかなかモチベーションが維持できないという例もあります。 そして授産施設に通ってくる障がい者は、福祉サービス業者である施設にとってはある意味お客様です。メンバーが通うことで、その日数に応じてその事業所を運営し、職員の給与をまかなう売上が得られるのです。一般企業の同僚のように純粋に一緒に働く仲間ではないのです。就労継続B型施設の中では、授産施設であっても工賃アップなどを目指さず仕事など困難を強いなくて楽しく過ごすことを目的にしている施設もありますし、仕事などで事故などを起こすよりは仕事はしないほうが良いという判断をする場合もあります。 こういった面が、組織全体で営利を追求する一般企業とは異なります。しかし、今まで自分がお会いしてきた福祉施設で働く、障がい者の仕事づくりに携わっている職員の方々は、非常に志高く、情熱を持った人たちばかりです。そういった方々が実力を発揮しやすい環境の中で必要な力をつけ、のびのびと働けるようになればと思います。 コストの高さ また、授産製品の多くはコスト競争力がありません。調達する材料費をとっても、より安く調達している企業より競争力はないことは明確。そして今や、企業はグローバル化し、日本の製造業も生産コストの低減を求めて中国やアジアなどに生産拠点を移しています。 低いコストで大量生産される海外の商品に授産製品が低価格で対抗していくのは無理です。そのために「如何にして付加価値を高めた製品に仕立て、工賃が稼げる収益事業を福祉の現場で作り出すのか」という、普通のビジネス活動よりも難しい課題を、職員が考え出さなくてはならないという現実があります。日本の流通の特徴授産製品の販売チャネルの現状としては、概して多いのは、「バザー」、「行政機関での販売」、頑張っているところで「直営店の設置」、「ネット通販」も行っていますが、一般流通市場ではあまり目にすることはありません。理由としては生産量や品質が安定しない場合が多いため、または一般流通に営業アプローチを行っていないということも。そして、授産製品の一般流通を阻む大きな問題があります。それは「日本の流通コストの高さ」です。日本の流通の特徴として、流通構造の多段階性と小売業の仕入れ価格の低さがあります。最近は「SPA(製造小売業)」の興隆で卸売業は減少気味ですが、依然海外に比べて流通に介在す ...
1.障がい者が社会とつながる仕事 ①働きたい意志のある障がい者を取り巻く環境
以前より書き溜めている、「社会的弱者のマーケティング」について、このブログで公開してみようと思います。 新規事業や製品開発、ブランド立ち上げをする仕事の中で、また授産製品等の販売をお手伝いするセルザチャレンジの活動として障がい者や最貧国の人たちがかかわる製品の開発を行ってきた中で、そして授産施設や企業向けのマーケティング関連セミナーなど活動の中で、様々な経験が得られました。 マーケティングを専門とするビジネスマンとして生きてきて、また何かの縁で障がい児の親になり、将来に不安を持つ当事者となった自らが取り組んでいくべきテーマでもあります。 ここでは社会的弱者がかかわる事業の作り方、世界でオンリーワンの製品・サービスづくり、強い事業・ブランドの立ち上げ方やそのプロセス、ポイントになることを、経営コンサルタント・マーケティングの専門家の立場と切り口からご紹介していこうと思います。 ...