アグロナチュラを新事業としてはじめた、イデアインターナショナル社本体は小売店に中国・台湾の工場で作った置時計やエスプレッソマシン等を、デザインをお洒落にカスタマイズして輸入、価格面での競争優位性を生かした卸販売を行う雑貨商社として成長してきました。
最近では、フランスのLEXONの日本販売代理店、旧タカラ子会社のプラスマイナスゼロの販売代理店等さまざまなブランドの販売代理業を行い、売り上げを拡大させております。
日本国内の取引先は2000店を超える雑貨店や家具店をはじめ文房具店、コンビニエンスストア、食品スーパーネット販売業者、テレビ通販業者、そして自社小売店舗というマルチな販売チャネルを持ち、約40名の社員のうち約半数が営業員の、販売・営業に非常に強い会社でプッシュ戦略に強みがあります。
一方、化粧品ブランドとしては、多くの営業マンが全国のあらゆる物販業を回ってバイヤーにお願いして買ってもらうというプッシュ戦略よりは、良いものを作ってイメージを高めそれを伝え、消費者に愛顧して買ってもらうというプル戦略が重要です。
良いブランドイメージの構築には、綿密な仕掛け作りが必要となり、自然にブランドができたり、偶然に信頼が生まれるものではありません。
ユーザーとの信頼関係の中で醸成されていくものです。
特に化粧品は、お肌にかかわる重要なものであり、思いつきやテクニックに任せてどんどん売り場にはめ込んで終わり、消費者ではなく小売業のバイヤーに製品を売り切って終わり、いろいろな価格帯別ブランドや用途用ブランドを作って小売店に導入したら売り上げが一時的に上がって終わりというものではなく、ユーザーとの信頼関係の中で、長い間買い続けもらい、それを継続させていくという非常にデリケートなものです。
マーケティング用語としては少し古くなりましたが、ライフタイムバリュー(LTV)という考え方があります。
コンピューターが進展して「顧客」が「個客」として把握・管理できるようになった今、一時的に何人が買ったというおおまかなシェアではなく、ある人の一生のうちで使うお金の中のシェアを如何に上げるかというより具体的な取り組みが重要になってきました。
ある人が、一生のうちで家や保険、車や雑貨、化粧品に使うお金の中で、如何に自社の製品の購入の割合を、その人の一生に関わって増やしていくかということです。
そして、そのターゲットにリーチし、信頼関係の中でブランドを作り上げていき、マーケットを生み出していくには戦略とその実行が必要です。
たとえば、ブランド品の卸売り販売の場合のチャネルマネジメントについて重要なのは、自分が担当しているお客さまの中で売りやすいところに製品を選んでもらってちょっとずつ売るのではなくて、絞り込んだ売っていただきたいターゲット店舗に売っていただきたいものを売るというようなことです。
導入店舗数に広がりを求めるなら順序も重要です。お洒落な店の順しか入っていかない現実があります。
街の中でいろいろな店舗が同じブランドを扱っている、扱っているけど全アイテムではなく少しずつで欲しいものが買えないという消費者の不便さ。
すぐ近くの店舗やネットモールなどで同じブランドを扱っていて、わざわざ自分の店で売らなくても良いよという店舗スタッフさんのモチベーション低下。
薄く広くたくさんのお店に販売して、その結果欠品や不良品対応に追われるメーカーの非効率性。
このようなマーケティングミスを避けるためには、しっかりと戦略を立て、それをしっかり実行していくことが重要です。
しかしなかなか徹底統制できず、一時はいろいろなところに少しずつ商品が並ぶという状況になりました。
一つのブランドを作り上げていく中で、事業をうまく行っていくためのマーケティングマネジメントは、非常に難しいことと実感した時期もありました。